十字架の楕円 【読書】種を蒔く人になりなさい (Forest Books) | 樋野 興夫 を読んで

 

「二つの楕円形が重なると、大きな力を発揮する」の一節で、樋野先生は『真理は円形にあらず、楕円形である。二つの中心がある』と説いた内村鑑三の言葉を引用しなから、次のように言っておられました。

“人間関係にも当てはめてみましょう。仲良しグループも最初はいいけれど、数年後にはがん化して仲違いなどをすることがありませんか。それを防ぐには、相反する人も輪の中に入れて存在や個性を認め、円を楕円形に変えることが効果的です。緊張感のあるバランスだけが、組織も人も成長させるからです。”

 聖書にも楕円形の関係があります。それはユダヤ人クリスチャンと異邦人クリスチャン(ユダヤ人以外のクリスチャン)の関係です。異邦人クリスチャンとユダヤ人クリスチャンの楕円形の結びは、新約聖書の大きな主流テーマです。おまけの事柄ではありません。

 ローマ人への手紙の宛先となったローマ教会は当時ユダヤ人クリスチャンと異邦人クリスチャンの仲違いが問題になっていました。ユダヤ人クリスチャンが主だった教会でしたが、ある時代にローマからユダヤ人追放の法が出され、異邦人クリスチャン中心の教会になり、しばらくして追放令が失効して、ユダヤ人クリスチャンたちが帰ってきたという事情がありました。もともと文化的に相容れない人々同士の群れに、そのような事情があり、ローマ教会はユダヤ人対異邦人の図になってしまいました。

 ローマ人への手紙15:6-7《あなたがたが心を一つにし、声を合わせて、私たちの主イエス・キリストの父である神をほめたたえますように。ですから、神の栄光のために、キリストがあなたがたを受け入れてくださったように、あなたがたも互いに受け入れ合いなさい。》

 文化の摩擦によって生じるストレスをカルチャーショックと言います。イエス様は天から地に来てくださり、30数年を過ごしてくださいました。日々カルチャーショックを受けながらの生活であったことでしょう。私たちをイライラさせる文化摩擦ですが、そこに目を向けてみた時、イエス様が私に何をしてくださったのか分かってきます。私を受け入れるということが簡単なことではなかったこと。それでも命を犠牲にしても、受け入れてくださったこと。その愛の深さを知ることになるでしょう。

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